ねむりのはなし [ねむりと上手に付き合う]

健康的な睡眠時間・・・世代や個人差を知ることが大切!

2011年12月26日

「8時間睡眠」の誤解。健康リスクが低い睡眠時間は?

「睡眠は人生の1/3を占める」と言われることが多いですね。単純に計算すると24時間の1/3=8時間ということで、「8時間睡眠」という言葉をよく耳にしたり、8時間の睡眠が標準的あるいは理想的と思われがちです。しかし、実際のデータと照らし合わせると、少しちがった結論が見えてきます。
私たちの睡眠時間には個人差があるため「何時間眠らなければいけない」ということはありません。グラフの通り、成人の場合、一般的に死亡リスク・生活習慣病リスクが低いのは、睡眠時間7時間前後であると言われています。

睡眠時間と死亡リスク

http://www.47news.jp/feature/medical/news/0810suimin.htmlより引用。

眠らない民族・日本人の理想的な睡眠時間

日本人は睡眠時間が世界でも最も短いという統計があります。
とはいえ、睡眠時間は長ければいいというものでもありません。多くの人の睡眠時間は、状況や環境に応じて短くも長くもなり、また、睡眠時間は年齢により変化していきます。
下の図で年齢別の睡眠時間をチェックしてみてください。

年齢別必要睡眠時間

大切なのは「長さ」ではなく「適切さ」

睡眠時間は、平均や「8時間」にこだわる必要はなく、自分にとって適切な睡眠時間を見つけることが大切です。
朝、目が覚めた時、眠気やだるさがないこと。午後2時前後をのぞいて強い眠気を感じないこと。1日を元気に過ごせること。
これらの条件を満たしていれば、それは睡眠時間が足りている、あなたにとっての適切な睡眠時間だといってよいでしょう。
反対に、この目安に当てはまることがあったり、休みの日にかなり長時間眠って日頃の睡眠時間をカバーしようとしている人は、睡眠が足りていないかもしれません。
一方で、年代によって 必要な睡眠が違います。大人にとってはもちろんのこと、脳も体も成長過程にある子どもたちにとって、睡眠時間はしっかり確保する必要があるのです。

睡眠時間チェック

睡眠の役割は大脳を休ませること

どのくらい眠ればよいのか、ということは、睡眠の役割を考えることに繋がっていきます。私たち人間にとっての睡眠の役割は、発達した大脳を休めることにあります。
人間の大脳の中でも、認知機能を司る前頭葉(ぜんとうよう)や、感覚の処理や運動をつかさどる頭頂葉(とうちょうよう)は、人間に近いゴリラと比較しても非常に発達したものです。
人間にとって、この発達した大脳を休ませ、脳と身体の疲れをとり、心身の機能を回復させるのが「睡眠」です。
睡眠が不足すると、この前頭葉と頭頂葉の脳機能がまず低下します。集中力の低下や注意維持・記憶などに障害が出たり、感情制御機能が低下したり、免疫機能や代謝機能にも異常が出てきて、血圧を上昇させたり肥満につながります。

そして、快適な睡眠は、しっかり眠るという「量」だけではなく、「質」も大切です。私たちの身体は、寝ついてから朝目覚めるまでの間に様々な機能が働いています。睡眠が安定してとれ、それら機能がきちんと働くことが質のよい眠りなのです。

【コラム執筆】

鍛治 恵(睡眠改善インストラクター・NPO法人 睡眠文化研究会)
NPO法人 睡眠文化研究会 http://sleepculture.net/

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