
そのいびき、大丈夫!?睡眠時無呼吸症候群について知ろう
2013年4月12日
いびきをともない、日中の眠気や寝起き時の頭痛をもたらす「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」。実は意外と身近な病気なんです。一体どんな原因で「SAS」になるの?自覚症状は?治療法は?今回は、そんな「SAS」についての基礎知識をわかりやすくご紹介しましょう。
どうして起こる?睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に何度も呼吸が止まったり、喉の空気の通りが悪くなった状態となる疾患です。その多くは、気道(空気の通り道)が狭まることによって起こります。
気道が狭くなると生じるのは、いびき。家の窓を想像してみてください。窓を開け放っていると音がしませんが、少しだけ隙間が開いていると「ピューッ」と空気が流れる音がしますよね。同じような原理が、上気道で働いているわけです。疲れた時やお酒を飲んだ時など、一時的にいびきをかくケースは問題ありませんが、日常的になるとSASの可能性が高いといえるでしょう。

画像提供:御茶ノ水呼吸ケアクリニック
ではなぜ、気道が狭くなるのでしょう?その理由はいくつかあります。
理由その1:肥満
太ることによって首回りに脂肪がつき、この脂肪が気道を狭くしてしまうパターンです。ただし、メタボリック・シンドロームの基準を満たしていない人でも、SASとなる可能性があります。
理由その2:身体的な特徴
舌が大きかったり、軟口蓋と呼ばれる鼻と喉の境の部分が垂れ下がっていたり、身体的な特徴によって気道が狭くなることがあります。あごが小さかったり、引っ込み気味の方も要注意です。
理由その3:加齢
加齢によって筋力が落ち、気道が塞がるパターンです。また、女性の場合は、呼吸を促進させる女性ホルモンの分泌が閉経後に弱まることによってSASを発症するケースもあります。
放っておくと、合併症を引き起こす可能性も…
「SASになったら寝ている時に呼吸が止まるのだから、呼吸困難で命にかかわるのでは…」と危惧する方もいらっしゃるかもしれませんが、その心配はありません。SASで呼吸が止まり続けることはありませんのでご安心を。しかし、SASはさまざまな健康上の悪影響を引き起こす一因になり得ます。
まずは、眠気による日中の事故。そもそも、SASが日本で注目を集め出したきっかけは2003年の山陽新幹線の運転士による居眠り運転でした。また、SASではないものの、アメリカ睡眠調査「WAKE UP AMERICA」によると、スリーマイル島の原子力発電所の事故や、スペースシャトル「チャレンジャー」の事故は、睡眠不足による判断や思考能力などの低下により引き起こされたと報告されています。「たかが睡眠不足」と無視できませんよね。
もうひとつは、合併症です。SASの患者の多くは、高血圧や心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病を合併しています。脳血管疾患・心臓疾患のリスクは、健康な人と比べると3〜5倍にも上るのだとか。中等症以上のSASを無治療で放置した場合、8年後には4割近くの患者が命を落とすという研究結果も出ています。
睡眠中、無呼吸になると、当然ながら体にとりいれる酸素の量が減ります。体内に酸素が不足すると、心臓は懸命に働いて、全身に血液を届けようとします。すると血圧が上昇し、循環器系の疾患や脳梗塞などのリスクが高まるというわけです。また、血圧が高くなると腎臓に負担がかかることで、糖尿病の悪化などにもつながりかねません。
治療の第一歩は「SASかもしれない」と意識することから
では、私たちはどのように対策を立てればよいのでしょう?SASの治療法には、マウスピースを使用する方法や外科手術など、SASの原因や程度によってさまざまな対処法があります。このうち、最も有効性が高く、安全かつ確実といわれているのが「CPAP」という療法です。
この療法は、睡眠中に鼻マスクを装着するもの。鼻マスクから空気が送り込まれ、睡眠中に緩んだ喉の筋肉によって喉が塞がってしまうのを防ぎます。患者によっては使用した翌日、酸素が十分にとり込まれた睡眠によって「寝起きのよさ」「スッキリ感」を感じる方もいらっしゃるようです。
対策において、まず大切となるのは、「SASかもしれない」と意識することです。下記のような症状に心当たりがある方は、一度医師の診断を仰いでみることをおすすめします。
くわしくはこちら http://www.tokyo-sleep.jp/self_check/check1.html
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