ねむりのはなし [ねむりと上手に付き合う]

【季節とねむり】実は寝正月はいいこと?お正月にまつわる「ねむり」のプチ雑学。

2013年1月11日

新年明けましておめでとうございます。みなさんは、お正月はどのように過ごしましたか?今回は、すこし趣向を変えて、お正月にまつわるねむりの歴史をご紹介します。

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「寝正月」は良いことだった。

現代では、ややネガティブなニュアンスのある「寝正月」という言葉。でも、かつてはまったくちがう意味を含んでいました。みなさんは、こんな言葉をご存知でしょうか。「朝起き貧乏寝福の神」-これは、「正月元旦の早起きは貧乏のもとで、朝寝坊は幸福のもとである」という言い伝えを表しています。昔はむしろ、元旦の早起きを忌む習慣があったのです。これには、大晦日に心身を清め、眠らずに年神を迎えなければならなかったという背景があります。そのため元日は、お屠蘇の酔いも手伝いぐっすり眠ってしまうのが常だったのでしょう。だからといって、ずっとごろごろ寝ていて良いわけではありません。信州地方には「正月二日に早起きすれば、一年中早く起きられる」という言い伝えもあります。これは、「元日は寝正月を決め込んでも、正月二日からは早起きをしてけじめをつけましょう」という戒めだったのかもしれません。

「初夢」はいつ見る夢?

かつて、夢は神様のお告げとされていました。そのため、人々は真剣に夢のお告げを信じ、夢にまつわる道具や環境について熱心に考えていました。現代にも残る「初夢」という考え方は、その名残と言えるでしょう。この、「一年の最初にみた夢の吉凶を判定し、その年の運勢を占う」という初夢信仰は、平安時代からあったようです。この風習が全国的に広まったとされる中世半ばから近世にかけて、一つの大きな変化がありました。実は室町時代までは、初夢を見るのは正月二日ではなく、節分の晩とされていたのです。関西ではその風習がしばらく残ったようですが、江戸時代中期に立春と正月が分離した頃から、江戸では正月二日の晩に見る夢を「初夢」とするようになったと言われています。

今も昔も変わらないこと。

室町時代、京都の公家を中心に行われたのが「獏(バク)」という字を書いて、枕の下に敷いて寝るというおまじない。獏は、中国から伝えられた、夢を食べるという伝説上の動物です。また、「宝舟」と呼ぶ船の絵を敷くこともありました。悪い夢を見た時は、この船に乗せて、絵ごと川に流して縁起直しをするためのものだったそうです。
現在でも私たちは、眠りに入る前の心や体の準備として、何らかの習慣を通して気持ちをリラックスさせたり、そのためのグッズを寝床の周りに置いておくことがあります。たとえば、音楽を聴いたり、日記をつけたり、歯を磨いたり。無意識にしている場合もあるその習慣は、「入眠儀式」と呼ばれています。また、自分にとっての心地よい眠りをうながすものを「眠り小物」と呼んでいます。枕の下に敷かれた宝舟や獏の絵は、睡眠のメカニズムが科学的にはわからなかった時代の「眠り小物」と言えるものかもしれませんね。

時代や風習は変われど、心地よくねむりたいという気持ちは今も昔も同じ。「お正月休みは夜更かし続きだったな」という方も、ねむりのリズムを整えて、すこやかな一年を過ごしてくださいね

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