ねむりラボ通信 [日本睡眠学会レポート]

“睡眠の専門家”が集う「日本睡眠学会」、現地レポート!

2011年11月2日

みなさんは、「ねむり」に関する学会があるのをご存じでしょうか?実は国内に「日本睡眠学会」という団体があり、睡眠の科学的研究の発展を推進し、医療の充実と国民の健康増進に寄与することを目的とした活動を行っているそうです。

2011年10月15・16日の2日間、第36回目の「日本睡眠学会学術集会」が京都国際会館で開かれました。今回は、学会に初めて参加したねむりラボスタッフがその様子をレポートしてみたいと思います。

WorldSleep2011も同時開催され、会場の京都国際会館には世界中から多くの人が集まりました

ねむりの「知」が京都に集結する1週間

学会に参加していていたのは、研究者、医師、学生を中心に、2500人以上。世界34か国の研究者が集まるWorldSleep2011も同時開催されており、かなりの人出でした。また、会期にあわせて「睡眠コンサート」や市民公開講座などのイベントが開催されるなど、京都全体が静かな熱気を帯びていました。

ちなみに、来場者は全員、会場のスタッフに「先生」と呼ばれます。「先生」なんて呼ばれたことがないので、なんだか不思議な気分でした…。

京都国際会館の広い会場のあちらこちらでセッションが行われました

災害、子ども、サマータイム…気になるテーマが盛りだくさん

睡眠に関する学会と聞くと、「不眠治療のための学会?」という印象をもたれる方もいらっしゃるかもしれませんが、発表テーマは臨床系の話だけではありません。医学、科学を中核としながらも、心理学、社会学、文化人類学など、質的な研究にも広くかかわってきます。身近な例でいうと、子どもの学力と睡眠時間の関係や、良い眠りを得るための食品の開発、光環境の研究など。様々なアプローチで「眠り」を紐解いている学会なのです。

会期中は朝から夕方まで隙間なくプログラムが組まれており、参加者は各自聴きたいセッション会場に向かいます。

ご飯の時間も惜しい…ということなのでしょうか、「モーニングセミナー」「ランチョンセミナー」という、お弁当を食べながら先生の発表を聴く時間もありました。

被災地で睡眠障害が増加、必ずしも薬の処方がゴールではない。

特に今年注目度が高かったのは、東日本大震災に関する発表テーマ。

「災害医療における睡眠問題について」というシンポジウムでは、今回の震災によってあらわれた「不眠」についての調査結果の報告、実際に東北で検診した医師の活動についてのレポート、さらに、過去の経験をぜひ活かしてほしいということで、阪神淡路大震災や新潟地震で集まったデータの紹介がありました。

質疑応答では「遠隔地にいる医師は被災した方々のために何ができるのか?」「医療データは共有されているのか?」などの質問が投げかけられたりと、医師や研究者の真剣な思いが会場を埋め尽くしていました。

特に心に残ったのは、「被災地で医師として診察しても、必ずしも”薬の処方”が求められているわけではない。」という医師のメッセージ。被災者自身が求めているのは眠剤ではなく、話を聞いたり、不調の根本原因となる生活環境を改善したりすること。例えば、被災者の唯一の家族である「犬」を診察してあげることが、被災者自身の心のケアに繋がったということもあるとのことです。

サマータイムは睡眠に悪影響!?

また、節電に有効と話題になった「サマータイム」に関する発表もありました。

一見、睡眠とは関係のないテーマのように思えますが、実はサマータイムによる生活の変化は、活動時間や睡眠など、人の生体リズムにダイレクトに影響を与えるため、導入にはもっと慎重な議論が必要と言われています。

確かに、経済面でメリットは良く耳にしますが、健康面での議論ってあまりされていないですよね…。今後の更なる研究が期待されるテーマです。

最新技術・製品が勢ぞろいの企業ブース

製薬、医療機器、食品、寝具など、40を超える企業が出展しました

発表プログラムの会場近くでは、企業ブースも。40以上もの企業・団体が出展しており、睡眠時無呼吸症群の患者さんが使用する呼吸用機器や計測機器、ねむりに効果的な飲料、寝具などが展示されていました。

日常生活に関わるからこそ、奥が深い「睡眠研究」

ポスター展示での解説を熱心に聴く参加者たち

セッションでの発表以外にも「ポスター展示」というエリアがあり、睡眠科学、臨床医歯薬学、睡眠社会学のカテゴリで200を超える幅広い内容が掲示されていました。

睡眠は、人が生きるためには欠すことのできない、とても大切な活動。睡眠の質や量の好不調が、日々の活動の活力にリンクしていることが多くあります。しかし、睡眠に関する謎はまだまだ多く、だからこそ多くの研究者が「眠り」をテーマに取り組んでいるのではないでしょうか。

ねむりラボでは、今後も「眠り」に関してどのような研究が進んでゆくのか注目してゆきたいと思います。

 

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