ねむりラボ通信

【レポート】 睡眠科学から小説、絵本まで!多彩なジャンルの “眠り”の本が、あなたの眠りを楽しくするライブラリ

2012年5月17日

今年3月、東京・御茶ノ水に、NPO法人・睡眠文化研究会による“眠りに関する本のライブラリー”がオープンしました。睡眠科学をはじめ、眠りをテーマにした小説や絵本に至るまで、多彩なジャンルの書籍を誰でも無料で閲覧できる“睡眠の図書館”について、睡眠文化研究会の事務局長、鍛治恵(かじ めぐみ)さんにお話を伺いました。

科学・文化・芸術…あらゆる角度からみた“眠り”の本が満載!!

睡眠文化ライブラリー

「眠り」を軸に絵本、小説、文化史、科学書まで様々な本が並んでいます。

御茶ノ水のお堀に面した建物の一室に、ズラリと並んだ睡眠に関係する書籍の数々。その多くは、かつて鍛治さんが在籍し、20年前に「睡眠文化研究」を始めた寝具メーカー「ロフテー」から寄贈されたものだとか。その他、購入したものや著者からの献本などが加わり、現在はおよそ1000冊(!)が揃っています。

「本屋さんで睡眠関連の本を探そうとすると、“医学”“健康”のカテゴリーの本棚に皆さん足を運ぶと思いますが、住環境やデザイン、小説や絵本など、いろんなジャンルに“眠り”関連の本は及んでいます。睡眠のメカニズムなど“体の内側のこと”だけでなく、寝具や風習、社会環境など“体の外側のこと”について書かれた本も集めたのが、睡眠文化ライブラリーです(鍛治さん)」

 

「眠り」に関する小説を集めた棚。様々な時代、ジャンルの小説が集められています。

本棚をみてみると、“夜”にまつわる本のコーナーや、“時間”をテーマにしたコーナーなど、眠りを広く捉えたラインナップが伺えます。なかには、「羊を数える本」など絶版になっている貴重な本も。さっそく、4つのカテゴリーからおすすめの蔵書をピックアップしてもらいました。

睡眠文化ライブラリー所蔵・おすすめの“眠り”本

風俗・習慣

『遅刻の誕生』

遅刻の誕生

橋本毅彦・栗山茂久編著/三元社

今となっては当たり前の「60分=1時間」という概念ですが、これは明治6年1月1日に採用された太陽暦の導入から始まったもの。不定時法から定時法へと転換し、さらには工場などにおける時間規律の導入によって、人々の暮らしと“時間に対する意識”はどう変わったのか、その変遷がわかる一冊です。

『ねむり衣の文化誌 ―眠りの装いを考える』

ねむり衣の文化誌

吉田集而・睡眠文化研究所編/冬青社

皆さんは“パジャマ”派?それとも“部屋着でそのまま寝る”派?ねむりにつく際の服装“ねむり衣(ぎ)”にクローズアップした同書では、日本をはじめとしたアジアや欧米など、古今東西の“ねむり衣”を比較。さらに、心地よいねむり衣の条件や提案など、未来の“ねむり衣”の在り方も模索しています。

睡眠環境

『図説 夜の中世史』

図説 夜の中世史

ジャン・ヴェルドン著/原書房

現代と比べ、夜の闇がいっそう深いものだった中世ヨーロッパ。夜は悪魔の領域、眠りは死と結びついていたそうです。人々が夜、ひいては闇をどのように捉え、どのような生活を送っていたのか?電灯が闇を薄め、24時間活動するようになった現代社会を見つめなおすきっかけになりうる一冊です。

『寝床術』

寝床術

睡眠文化研究所編/ポプラ社

電車で寝るのは日本人の習性?ソファでのごろ寝はナゼ気持ちいいの?人が眠る“寝床”は多種多彩。心地よい睡眠環境について、国際座談会や寝床踏み込み調査などから考えていきます。哲学、建築、時間生物学など、さまざまな分野のエキスパートによる寝床の考察も一読の価値アリ。

睡眠行動

『昼寝のすすめ ―短時間睡眠の不思議』

昼寝のすすめ

井上昌次郎監修/家の光協会

ともすればマイナスイメージが先行する“昼寝”を切り口に、睡眠のメカニズムをわかりやすく解説した一冊。監修者の井上氏は、睡眠の重要性が注目され、サマータイム導入の声も上がっている現代こそ、眠り方や睡眠時間の多様性が見直されるべきと語っています。

『夢 うつつ まぼろし ―眠りで読み解く心象風景』

夢 うつつ まぼろし

北浜邦夫監修/高田公理・睡眠文化研究所編/インターメディカル

夢をみることも、れっきとした睡眠行動のひとつ。「記憶にもとづいた睡眠時の脳内現象」と科学的に見なすこともできる一方、夢は世界各地の民族によって今も昔も大切にされ、長い歴史の中で活用されてきました。悪夢を見たらどうする?良い夢を見たいなら就床前に何をすべき?それぞれの国の文化が垣間見える、夢にまつわるお話の数々。夢は楽しむものなんだ、と思わせてくれますよ!

芸術

『メアリー・スミス』

メアリー・スミス

アンドレア・ユーレン著/千葉茂樹訳/光村教育図書

目覚まし時計が普及する前、20世紀初頭のイギリスが舞台の絵本。主人公のメアリー・スミスおばさんの職業は“起こし屋”です。吹き矢の要領で豆を飛ばして窓ガラスに当てる、長いサオで窓をコツコツと叩くなど、その方法はユニークの一言。でもこれは実際にあった職業のお話。睡眠文化を楽しく知ることができる絵本として、大人にもオススメです。

『自動起床装置』

自動起床装置

辺見 庸著/文藝春秋

もし“起こし屋”が現代の世の中にいたら…そんな切り口から“眠り”をテーマにした芥川賞受賞小説。通信社の宿泊センターで、仮眠する社員を起こす仕事に就く聡。ところがある日、“自動起床装置”なる機械が導入される。強制的に起こす装置に対して、“目覚めは入眠と同じくらいデリケート”を信条とする聡は対抗するが…。

ライブラリーが、眠りを「自由で楽しいもの」にしてくれる!

誰でも無料で閲覧できる、睡眠文化ライブラリー。このたびの開架で「皆さんに、もっと眠りを楽しんでもらえたら」と鍛治さんは語ります。

「あらゆる角度から“眠り”にアプローチした本を読むと、眠りがもっと自由で楽しいものになると思います。たとえば、なかなか眠れない人は、もしかすると『こう眠らねば、十分な睡眠とはいえない』と自ら考えて、それが逆にプレッシャーになっているかもしれません。それよりも『こんな眠り方があるんだ』と感じて、眠り=楽しいモノと捉えてもらえるといいですね」

眠りを楽しいモノにしてくれる、睡眠文化ライブラリーの蔵書の数々。ぜひ皆さんも一度、足を運んでみてください。

NPO法人睡眠文化研究会 ライブラリー

http://sleepculture.net/library.html

住所:東京都千代田区外神田2-1-2 東進ビル本館402号
JR御茶ノ水駅の御茶ノ水橋口(聖橋口と反対)から徒歩5分。
地下鉄丸の内線御茶ノ水駅から徒歩3分。
神田川沿いのビルの中二階で、外堀通りをはさんで向かいは湯島聖堂です。

開館日:毎週水曜日(12:00~17:00)
開館日は変更の可能性もあります。
事前に下記までメールもしくはお電話にてお問い合わせください。
e-mail: info@sleepculture.net
phone: 090-9306-7637

利用方法:閲覧のみ
利用料金:無料

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