ねむりの基本

「ねむりって、そもそも何だろう?」毎日必ずねむっているのに、意外と知らない睡眠のメカニズム。思わぬ誤解や間違った対処が、ねむりの質を下げているかもしれません。ねむりの知識があれば、ぐっすり快眠・ぱっちり目覚めの秘訣を、もっとしっかりつかめるはず。『ねむりレシピ』をさらに有効活用していくために、「ねむりの基本」を学んでいきましょう。

  • 1 人は、どうして眠くなるの?
  • 2 体内時計って何だろう?
  • 3 ノンレム睡眠・レム睡眠って何?
  • 4 ねむりと体温って、どう関係するの?
  • 5 ねむりとホルモン「10 時~2時のゴールデンタイム」はウソだった!?
  • 6 ねむりと光ってどう関係するの?
  • 7 体内時計が作り出す24 時間
  • 8 午後の眠さは、満腹のためではない!?

1 人は、どうして眠くなるの?

人が眠くなるのには、2つの理由があります。ひとつ目は、日中動いて疲れたから。
ふたつ目は、体の中にある「体内時計」が、約24時間で「眠くなる/目が覚める」のリズムを刻んでいるからです。

疲れがたまるとおこる①「睡眠欲求」日中の疲労→眠気が増す→寝る→眠気がとれる 体の中でリズムを刻む②「体内時計」約24時間のリズムによる眠気

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2 体内時計って何だろう?

体内時計は、ねむりのサイクルを作りだす自然のタイマー。そのリズムは「約24時間」ー 24時間より少し長めの周期です。
そのため、24時間で動く実際の生活とは少しズレが生じます。不規則な生活などによって、狂ってしまいやすいのも特徴です。
ですから私たちは、24時間の生活に合わせて、意識的に体内時計を整えていく必要があるのです。

体内時計を整えるには……朝は太陽の光を浴びよう! 光を浴びると体内時計はリセットされ、ここからまた「約24時間」のリズムを刻み始めます。毎朝同じ時間に起き、朝日を浴びるのはタイマーの「スタートボタン」を押すのと同じ。これにより、目覚めと眠りの良いリズムを作れます。 夜は光を浴びないよう注意 体内時計の働きにより、夜になると自然に眠たくなり、睡眠中に朝目覚める準備が始まります。夜にパソコンやテレビ、コンビニなどの強い光を浴びると体が目覚めてしまい、時計が遅れてしまいます。

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3 ノンレム睡眠・レム睡眠って何?

私たちのひと晩のねむりには2つの種類があります。それは「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」。
ここでよくあるのが、「ノンレム睡眠=深い眠り、レム睡眠=浅い眠り」という誤解です。
この2つは、違った性質を持つ、どちらも必要な眠りです。その特徴を整理してみましょう。

ノンレム睡眠「大脳の休息」体の力が抜け、呼吸は深く、脈拍は少なめ。寝返りを打ち、寝汗をかく。副交感神経が活発。夢は見るが、単純なイメージ。 レム睡眠「脳の中の情報整理」呼吸は浅め、脈拍は変動。急速な眼球運動がある。交感神経・副交感神経の両方が働いている。夢は複雑で奇妙なストーリーが多い。 ノンレム睡眠・レム睡眠セットで3~ 5 回ひと晩に繰り返し、1周期は平均80 分~ 100 分です。

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4 ねむりと体温って、どう関係するの?

体内時計は、睡眠だけでなく「体温」のリズムも作っています。体温の高低のリズムと、睡眠のリズムは連動しているのです。
起きている間の体温は高く、体温が下がるタイミングにあわせて、眠気が始まります。このときの特徴は、手足が「暖かくなる」こと。皮膚や体の末端から放熱することによって、体の中央部分の温度=「深部体温」が下がるのです。
寝る前は手足を暖かくして、深部体温をスムーズに下げることが必要。
それにより、眠りも訪れやすくなります。

体温リズム 皮膚から熱を放散させ、体の内部の温度を下げる→体温が下がると深い眠りにつく

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5 ねむりとホルモン「10 時~2時のゴールデンタイム」はウソだった!?

体内時計は、ホルモン分泌のリズムも管理しています。
眠りに入ると「成長ホルモン」が分泌され、疲労回復・骨や筋肉や皮膚の再生のために働きます。このことから、「お肌を回復させるには、10時〜2時に眠っていないといけない」という説がありますが、これは間違い。成長ホルモンの分泌量は時刻とは関係ありません。
「寝入ったあとの3時間にぐっすり眠れているか」がポイントなのです。

成長ホルモン 体の成長や修復・疲労回復の役割 寝入りばなの3時間、深く眠れば成長ホルモンがたっぷり出る!

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6 ねむりと光ってどう関係するの?

私たちの体は、「光を浴びると目が覚める」ようにできています。
朝に光を浴びて夕方暗くなるとともに「メラトニン」というホルモンが分泌され、体温の低下と眠気を呼び寄せます。このとき、明る過ぎる環境にいると、メラトニンの分泌が抑えられ、眠気も遠くに行ってしまいます。

起きている間は、メラトニンは少なめ! このタイミングで、眩しい光を浴びちゃダメ! しっかり分泌すれば眠りの質がよくなる! しっかり眠ったあとは、光を浴びてパッチリ!

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7 体内時計が作り出す24時間

睡眠・体温・成長ホルモンにメラトニン。体内時計の働きによってこれらのリズムが刻まれます。
体温が下がれば、眠気が出てくる。深く寝入ったら、成長ホルモンがたっぷり出る。そして光を浴びると、眠りは去ってパッチリ目覚める。
このメカニズムを知って、規則正しいリズムを心がけ、「良いねむり&良い目覚め」を目指しましょう。

体温リズム 成長ホルモン 体の成長や修復・疲労回復の役割 眠りが深くなるとともに成長ホルモンが分泌される メラトニン 光とともにねむりのリズムを調整する 暗くなるとともにメラトニン分泌量が増える 眠気を誘い睡眠維持に作用 太陽光を浴びる

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8 午後の眠さは、満腹のためではない!?

体内時計に基づくリズム(周期)は、実はひとつではありません。
1〜7のねむりの基本は約24時間の周期でうごくリズムですが、このほかに約12時間周期のリズムもあるといわれています。これが「昼間に眠くなる」作用を起こします。
ランチのあとの眠さは満腹のためではなく、このリズムが原因なのです。

昼の眠気のピーク この眠気はいわば「不可抗力」 ここで眠ると、夜眠れない!? 「睡眠禁止時間帯」と呼ばれ、本来眠くなりにくい時間帯です。 夜の眠気

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